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社内ブログ

2025.9.4

【懺悔】予算の半分を溶かした、あの日のこと。

マーケティングの世界に「絶対」はない。頭では分かっていたはずなのに、それを骨の髄まで叩き込まれた案件がある。今日は、我々のチームが犯した大きな失敗と、そこから何を掴んだのかを、包み隠さず話そうと思う。

あれは去年の夏。あるクライアントの大型プロモーションを任された時のことだ。チーム全員が自信を持っていた戦略とクリエイティブ。しかし、配信開始から3日後、管理画面に表示されたCPA(顧客獲得単価)を見て、俺は血の気が引いた。

想定の5倍。

計算するまでもなく、このままではプロジェクト予算の半分近くが、わずか数日で非効率に消えることを意味していた。クライアントの期待、チームの努力、その全てが水の泡になる。会議室に集まったチームメンバーの顔から、明らかに焦りの色が浮かんでいた。

「誰のせいだ?」という空気にはならなかった。それが、うちの会社の唯一の救いかもしれない。すぐに始まったのは、犯人探しではなく、全員での「原因分析」だった。

ホワイトボードを埋め尽くすほどの議論の末、見えてきた失敗の原因は、驚くほどシンプルだった。「自分たちの思い込み」だ。我々は、過去の成功体験に囚われ、ターゲット顧客の解像度を上げる作業を怠っていた。「きっとこうだろう」という仮説が、市場のリアルとは乖離していたのだ。

そこからの行動は早かった。

まず、クライアントに頭を下げ、現状を正直に報告。そして、残された予算を最大限活かすためのプランを再提案した。次に、既存顧客への緊急ヒアリングを実施し、ペルソナをゼロから再構築。深夜まで及ぶ議論の末、全く新しい訴求軸を3つ立て、それに基づいた広告クリエイティブを15パターン以上、泥臭く作り直した。

残りの予算で、少額の高速ABテストを繰り返す日々。1円単位の成果に一喜一憂しながら、データだけを信じて最適解を探し続けた。

そして2週間後。ついに、ある一つのクリエイティブが、爆発的な反応を示した。そこからは、まさにV字回復だった。最終的に、プロジェクトは当初の目標KPIを120%達成して着地することができた。

クライアントからの感謝の言葉は、もちろん嬉しかった。だが、それ以上にこの案件で得たものは大きい。「失敗は、正しく向き合えば最高の資産になる」という揺るぎない事実だ。

うちは、挑戦を歓迎する。そして、挑戦に失敗はつきものだと知っている。だから、失敗そのものを責める人間はここにはいない。

ただし、その失敗から何を学び、次にどう活かすか。その一点については、どこまでも貪欲に、徹底的に問われる。

もしあなたが、安全な場所で正解の作業をこなすのではなく、未知の課題に挑み、生々しい失敗から本物の実力を掴み取りたいなら、ここは最高の環境かもしれない。我々は、そんな覚悟を持った新しい仲間を待っている。

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