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社内ブログ

2025.9.4

入社3ヶ月目、僕が初めて「お前、面白いな」と言われた日。

「マーケターって、なんかカッコいい」。そんな浅い動機でこの業界に飛び込んだ半年前の自分を、正直、殴ってやりたい。入社してからの3ヶ月間は、カッコいいどころか、自分の無力さを毎日突きつけられる地獄のような日々だったからだ。

会議で飛び交う「CPA」「ROAS」「LTV」といった呪文のような言葉。先輩たちがホワイトボードに描く複雑なロジックツリー。その全てが理解不能で、俺にできるのは、必死にメモを取り、後でこっそりググることだけ。議事録作成を頼まれても、議論の要点が掴めず、何度も書き直しを命じられた。

正直、何度も「向いてない、辞めよう」と思った。

転機が訪れたのは、あるクライアントのSNS運用を任された時のことだ。もちろん、最初は先輩の指示通りに投稿を作成するだけの「作業者」。だが、メンターの佐藤さんから言われた一言が、俺を叩き起こした。

「木村、この投稿の目的って何だっけ?『いいね』の数か? それとも、サイトへのクリックか? 目的が違うなら、見せるべきクリエイティブも言葉も全部変わるよな。なんでこの写真なんだ? なんでこの文章なんだ? 全部、自分の言葉で説明してみろ」

頭をガツンと殴られたような衝撃だった。俺は今まで、ただ「それっぽい」投稿を作っていただけだったのだ。一つひとつのアクションに、明確な「意図」と「仮説」がなければ、それは仕事ではなく、ただの自己満足でしかない。

そこから、俺の戦いが始まった。寝る間も惜しんで競合アカウントを分析し、ターゲットがどんな言葉に心を動かされるのかを考え抜いた。そして、自分なりの仮説を立て、佐藤さんにぶつけた。

「このターゲット層は、完成された綺麗な写真より、少しリアルな使用感が伝わる写真の方が『自分ごと化』しやすいはずです。だから、あえて作り込まず、この写真でいきます」

佐藤さんは、ニヤリと笑ってこう言った。 「いいじゃん。お前、面白いこと考えるな。やってみろよ」

結果、その投稿のエンゲージメント率は、過去平均の2倍を叩き出した。

もちろん、これは小さな成功体験に過ぎない。でも、俺にとっては、初めて「自分の頭で考え、価値を生み出した」と感じられた、忘れられない瞬間だ。

ここは、手取り足取り教えてくれる優しい学校じゃない。だが、自分の意志でボールを拾いに行けば、どこまでも深く思考させてくれる道場のような場所だ。もしあなたが、指示待ちの作業者で終わるつもりがないなら、このヒリヒリするような環境は、最高の成長の舞台になるはずだ。

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